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目の健康を守り、眼科医療に貢献する。国家資格「視能訓練士」とは

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医療法人財団シロアム会 新城眼科医院 視能訓練士吉田有希さん

眼科検査・トレーニングのスペシャリスト、「視能訓練士」。国家資格を持った医療技術者で、乳幼児からご高齢の方まで、幅広い人々の目の健康を守る専門技術職として活躍しています。新城眼科医院に勤める吉田有希さんは、高校生のときにコンタクトレンズを作ったことをきっかけに、視能訓練士という職業を知ります。視能訓練士の魅力ややりがい、今後の目標などについて詳しく伺いました。

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就職難の時代。未来を切り開くスキルを身につけた

自己紹介をお願いいたします!
吉田有希(よしだ ゆき)といいます。奈良県出身で、小学生の頃に父の転勤で宮崎県延岡市に引っ越してきました。1980年2月生まれの43歳です。 小中高時代を延岡で過ごし、宮崎県立延岡東高等学校(現:宮崎県立延岡星雲高等学校)を卒業後は、視能訓練士を目指して新潟の専門学校へ進学しました。 現在は、新城眼科医院で視能訓練士として仕事をしています。
視能訓練士とはどのような仕事なのでしょうか?
視能訓練士:Certified Orthoptist (サーティファイド・オーソプティスト 略称CO)は、視機能に関する検査や視覚発達のトレーニングをおこなう専門技術職です。乳幼児からご高齢の方まで、幅広い世代の方の目の健康を守るお手伝いをしています。 また、クリニックのほかにも、学校や保健所、企業で眼科検診を行うこともあります。特に小さいお子さんの眼科検診では、斜視や弱視、眼筋麻痺などの検査を行うことで、視覚異常の早期発見に繋がることもある重要な業務を担っています。 当院の視能訓練士資格をもつ職員も、宮崎市が行っている3歳児健診(3歳6か月児健康診査)などに参加し、宮崎の眼科医療に貢献できるように努めています。
視能訓練士を目指したきっかけは何だったのでしょうか?
高校生の頃、コンタクトを作るために眼科に通ったのがきっかけです。その時に私の眼の検査をしてくれたのが、視能訓練士でした。 元々、なんとなく医療系の仕事に就きたいな、とは考えていました。当時は就職難。1990年代後半〜2000年にかけて、金融不安やITバブル崩壊の影響で特に景気が悪化したため、就職氷河期とも言われていました。 何か「手に職」をつけておきたいな、と思っていたんです。 でも、看護大学のオープンキャンパスに行ってみて分かったんですが、看護師になったら夜勤もあるし、体力勝負。体力に自信のない自分が看護師をしている未来を、想像できませんでした。 そんな時に、通院していた眼科で視能訓練士さんが働いている姿を見て、こんな仕事もあるんだと知って。私も目指せるかな?と思って視能訓練士の受験資格を満たせる学校を探し、進学しました。
視能訓練士になるためにはどのような方法があるのですか?
視能訓練士として働くためには、年に1回ある視能訓練士の国家資格試験に合格する必要があります。 受験資格を得るためには、視能訓練士養成課程のある大学や視能訓練士養成校で必要な知識や技能を修得するのが一般的です。そのほかに、大学や短大、看護師や保育士の養成校などで指定科目を履修した後、視能訓練士養成校で必要な知識や技能を修得する方法があります。 視能訓練士養成校は全国におよそ30校ほど。九州では、福岡県、熊本県、大分県にあります。
どのような学生生活を過ごされたのでしょうか?
中学時代は、軟式テニス部に所属し、練習に明け暮れていました。私たちのコーチは非常に厳格で。日々厳しい指導を受けることが多く、初めはその厳しさに戸惑いましたが、今思えばその経験が、自分の限界を超え、成長するためのきっかけになったように思います。 怒鳴られることも多かったのですが、挫けずに頑張ってこれたことが、自分の自信に繋がっているのかもしれません。 専門学校時代は、視能訓練士を目指していたので、国家試験の前に友人たちと朝から夜中まで必死に勉強したことが良い思い出です。
なぜ新潟の専門学校に進学されたのですか?
学生時代に、ちょっと宮崎を出てみたいな、と思っていたんです。 どこに住もうかと考えた時に、大好きな祖母の家が新潟にあったので、それだったら新潟に住んでみようかな、って。新潟で視能訓練士を目指せる専門学校を探して進学しました。 新潟に住んでみると、改めて宮崎の良さが分かりました。 特に気候の面ですね。新潟では、冬になるとお風呂も凍っちゃうんです。雪道でも沢山転びましたね。 本来寒がりなので、宮崎の暖かな気候が恋しくなり、宮崎で視能訓練士を募集している病院を探して就職活動をしました。

安心して働ける環境が、気持ちのゆとりにつながっている

勤務されている新城眼科医院はどのようなクリニックですか?
当院は、1978年に開業した有床診療所です。常勤医師が6名、非常勤医師が11名で多種多様な症例の診察・治療を行っています。 また、最先端の手術機器や検査機器を導入して、常に安全でより良い医療を提供できる体制を整えています。 眼の治療、と聞くと不安に感じる患者様も多くいらっしゃいますので、診察や検査を丁寧に行い、症状や進行具合をしっかりと把握しながら、患者様と相談しながら一緒に治療を考えていくところが当院の良さだと思います。 視能訓練士は私を含めて12名。正確な診察には、正しい検査が必要です。学会や講習会などにも積極的に参加し、常に新しい知識を更新しながら検査を行っており、視覚検査などの一般的な検査から、斜視・弱視のお子さんの検査や訓練にも力を入れています。
                                                                                               吉田さんが勤務する新城眼科医院の公式ウェブサイト
子育て中の方や、ワーク・ライフ・バランスを大切にされる方にとって、とても働きやすい職場だと思います。 眼科には保育室が併設されていて、3歳までの子どもを預けることができます。子どもが1歳になるまでは、仕事の合間に授乳にいくこともでき、出産後も仕事に復帰しやすい環境が整っています。
      医院に併設された保育室。ブランク期間を開けずに仕事に復帰したい人をサポートする体制が整っている
私も3人の子育てをしながら視能訓練士として働いているので、これにはとても助けられました。 何より、職員の皆さんが子育てに理解のある方たちばかり。子どもの体調不良などでお休みが必要な場合も、決して嫌な顔をせず、むしろ「頑張ってね」と励ましてくれる雰囲気が常に漂っていました。 そのサポートがあったからこそ、私はここで長い間働くことができていると感じています。 そして、毎日昼食が提供されるんです!お弁当の準備を気にしなくても済むことも、とてもありがたいと感じていますね。 安心して仕事ができる環境だからこそ、患者様にさらに寄り添う心のゆとりが生まれ、安心していただける検査に繋がっているのではないかと感じています
                                                                        保育室で、お子さんと一緒に季節の行事に参加される医院の皆さん

視能訓練士を広く周知させ、次の世代につなげたい

視能訓練士の仕事の魅力はどんなところでしょうか?
手術の後、眼帯を外した時に「見えるようになった!」と喜んでいる患者様のお顔を見たときにやりがいを感じます。 また、3歳児健診などで小さいお子様を担当すると、みなさんとても可愛らしく、こちらまで笑顔になりますね。 視能訓練士は医師の指示のもとに検査をするのが仕事なので、治療に携わることはあまりありませんが、「ありがとう」と言われると、この仕事をやっていて良かったと嬉しい気持ちになります。
どんな人が視能訓練士に向いているでしょうか?
人が好き、という人は視能訓練士に向いていると思っています。 視能訓練士は、毎日沢山の患者様とコミュニケーションをとります。時には、先生に伝わっていない些細な話を患者様から聞き、先生との架け橋になることも。 また、小さいお子さんの検診を行うことも多いのですが、低年齢のうちはうまく言葉で伝えられないこともあるので、表情などを観察したり話かけたりして正確な診断をすることが求められます。 そのため、子どもが好きという人にもおすすめの仕事だと思います。
            小さな子どもを検査する部屋には、子どもが安心できるような工夫がされている
今後の目標を教えてください。
視能訓練士という職業を沢山の人に知ってもらえるように頑張りたいです。 視能訓練士は、まだまだマイナーな仕事だと思います。宮崎でも資格を持っている人は少なく、あちこちのクリニックで募集しているのに、需要に対して供給が追いついていません。 たくさんの人の眼の健康をサポートできる、やりがいある視能訓練士という職業を、いろんな人に知ってもらいたい。そして、誰かの視能訓練士を目指すきっかけになることが、今の私の目標です。
最後に、宮崎の若者へのメッセージをお願いします。
昨今の情勢で先行きを不安に思うこともあるかもしれません。でも、その中にも素晴らしいチャンスが潜んでいます。 ぜひ若いうちに、旅行をしたり、新しい経験を積んで欲しいと思います。どんどん新しい場所へ足を踏み入れてみてください。そして、今の皆さんの豊かな感性で見える沢山の景色を、自分の目で見て欲しいと思います。

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